カテゴリー「my本棚」の57件の記事

怪物はささやく

「怪物はささやく」という小説を読む。

その挿絵だがものすごく不気味。
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内容は本の題名とイラストからは想像出来ないけど、実はとっても切ない癒しの物語。

13歳のコナーは母さんと二人暮し。 母さんと離婚した父さんは外国で別の家庭を持っている。 その母さんが重い病気(明かされていないがおそらく末期ガン)にかかり、 入退院を繰り返す日々が続く。 それだけでも陰鬱な気持ちとなるコナーだが、 交友関係は複雑だ。

とても厳格でコナーとは気の合わない祖母。
母の病気を知って腫れ物にさわるように接するクラスメイトと教師たち。
なぜかコナーを執拗にいじめる優等生であるハリー。
コナーを気遣う幼馴染のリリー。
しかしそのリリーはコナーにとっては、
みんなに母の病気を喋った憎むべき相手。

コナーは眠っていると繰り返し悪夢をみるようになる。
決して誰にも言うことの出来ない悪夢を。

そんなある日の深夜12時7分(この時間の意味は最後の最後で明かされる)、
恐ろしい怪物がコナーのもとを訪れる。
怪物はコナーの家の裏にある墓地に佇む大きなイチイの木の化身であった。
怪物はコナーにこう告げる。
「これからお前に三つの物語を聞かせる。
 そのあとお前が第四の物語としてお前の真実を私に話すのだ」

リアルな現実と夢現な怪物の場面が交差するように物語はすすみ、
次の展開が気になり一気読みした。
正直、怪物の語る物語については、
(年端もいかない切羽詰まった子供に禅問答のような話をしてどうする怪物よ!)
とも思ったが、リリーがコナーに渡すたった四行の手紙や、
ラスト手前の病室でのコナーと母さんの会話に少しウルウルときた。

ヤングアダルト向けに書かれた小説らしいが、
読み手によってこの物語の感想はずいぶんと変わるだろう。

少々ひねた現代っ子はハリー的な。
まだ純真な心が強ければリリー的な。
子供をもった親なら優しい母さん的、もしくは優しいけどずるい父さん的な。
自分はコナーのような葛藤はなかったけど、
病院と家を行ったり来たりした父親の姿が少しダブった。

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怪物はささやく


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巨娘

「神戸在住」の作者、木村紺の「巨娘」を読む。

神戸在住とは正反対のギャグ漫画だが読みづらさは健在(?)。
読み慣れれば独特な味が楽しめる。

とにかく巨娘のジョーさんが男前すぎる!
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「ぼくらのよあけ」

今井哲也作「ぼくらのよあけ」が面白そうだったので読んでみた。

現代と未来とが混じり合った2038年の東京。 偶然、外惑星からやってきた探査船と出会った少年たちは、 探査船を宇宙に帰そうと奮闘する。 そこに様々な人間模様が絡みあいながら、 大団円へと物語はすすんでいく・・・。

物語の設定や展開は王道的な少年漫画で、
限られたページ数のなかにエピソードを詰め込みすぎな感もあるが、
人物たちがみなキャラ立ちしていて、
大人が読んでも感情移入しやすくなっている。
ラストの主人公とオートボットのやりとりは、
屈指の感動的シーン。


外惑星からの無人探査機「二月の黎明」。
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人工知能を持ったオートボットのナナコ。
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2010年、かっての少年少女たち。
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未来にもあるいじめ。
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本作の最大のテーマは友情。
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マイナーながら久しぶりの個人的スマッシュヒットな作品。


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一言読書感想:コミックスその1

「あっかんべぇ一休」(坂口尚)
TVアニメでおなじみ禅僧一休宗純の生涯を描いた作品。
でもこちらの一休さんは若い頃はひたすらストイック。
悟りを開いたあとも自由奔放なようでいて根は変わっていない。
臨終の際の高僧らしからぬ言葉も「人間」として生きた一休ならではの重みを感じる。

「MASTERキートン」(浦沢直樹)
考古学者にしてロイズの調査員、そして元SASサバイバル教官のキートン先生。
基本的には一話完結。人間ドラマを主軸にアクション、サスペンス、ほのぼのといった
非常にバリエーション豊かなストーリーが楽しめる。
ただ物語後半、キートンが主役らしい活躍がなくなっていったのが残念。
持っていたコミックスは売ってしまったので現在、完全版を買い戻し中。

「柔道部物語」(小林まこと)
まったくの柔道ド素人、三五十五は先輩に騙されて高校の柔道部に入るが、
強豪校との試合を通じその才能を開花させ全国の頂点を目指す。
すべての登場人物がキャラ立ちしており、爆笑もののギャグと
シリアスなアクションが見事に融合した学園格闘漫画の傑作!

「サザエさん」(長谷川町子)
朝日新聞に連載された4コマ漫画にして国民的漫画の代表格。
アニメのイメージで原作を読むとかなりブラックなサザエさんたちにとまどうかも。
社会風刺を扱った後期よりもユーモア中心の初期のほうが好みかな。
原作者の自伝ともいえる「サザエさんうちあけ話」もオススメ。

「よつばと!」(あずまきよひこ)
天真爛漫なよつばを中心にとーちゃんをはじめ出てくる人物が良い人ばかり。
クスっとさせられながらもほんわか気分になる。もうすぐ11巻が発売。

「ドラゴンボール」(鳥山明)
説明不要の国民的漫画にして世界的にも有名な人気作。
毎週ジャンプを立ち読みするのが楽しみだったが個人的なピークはサイヤ人編。
しかし登場時はかっこいいと思っていたピッコロやベジータが、
味方になったとたん噛ませ犬になってしまうのは残念。

「百物語」(杉浦日向子)
江戸時代の怪異を集めた短篇集。
妖怪や幽霊の類が特別な存在ではなく生活の一部であった時代を感じさせてくれる。
怖いだけではないどこか懐かしくもあり儚くもある余韻が残る作品。
作者が早逝されてしまったのが惜しまれる。
絵師、葛飾北斎を扱った「百日紅」と合わせて読むのがオススメ。


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一言読書感想:司馬遼太郎作品

「竜馬がゆく」
土佐藩を脱藩した坂本龍馬が日本を洗濯。
男なら誰もが憧れる。でも美化しすぎなような。

「燃えよ剣」
新撰組の鬼の副長土方歳三。剣に生き剣に斃れる。
龍馬とは対極なダークヒーロー歳三。
でもこちらのほうに惹かれる。
自分が新選組に入ったらまっ先に切腹させらそうだが。

「太閤記」
極貧の身であった秀吉が人たらしによって天下人へ。
負の部分を極力描かなかったせいか、
まったく秀吉に感情移入出来んかった。


「新選組血風録」
新撰組隊士たちのオムニバス。
「燃えよ剣」と比べるとヒートダウン。

「坂の上の雲」
日露戦争で活躍した秋山兄弟を中心に、近代化しつつある明治日本を描く。
前半は人物描写が面白いけど、後半は歴史をなぞる感じでテンションが下がった。

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それでもこの世界は美しい

定期購読している数少ないコミックス、
「とりぱん」の最新刊が発売されたのでさっそく購入。

作者であるとりのなん子さんが東北在住ということもあり、
この巻には震災編が収録されている。

その震災編のラストのコマに綴られている言葉を引用。

 私は また
 普通の日常を
 描いていこう
   失われた町の
   楽しかった
   思い出を
     空や
     山や
     海だって
       私たちの
       強さや弱さとは
       関係なく
          世界はいつでも
          美しいということを
             それが私の
             役割だと
             思うから

一見平凡な日常に隠れて
この世の中には
悲しいこと
辛いこと
どうしようもないこと
が満ち溢れている。

それでも世界は美しいと思いたい。

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「神戸在住」

2006年に完結しているコミックス「神戸在住」

読み始めこそ「空くんの手紙」(古!)のような、
ほのぼのした少女漫画チックな絵柄と、
文章の多さにとっつきにくさを憶えたが、
丁寧な人物描写に惹きこまれ、
だんだんと気にならなくなった。

神戸の大学に通う主人公・辰木桂の心象風景を軸に、
淡々と物語はすすんでいく。
登場人物たちは基本的に善人ばかりで、
和気あいあいとした大学生活を中心に描かれているが、
そこに神戸震災、障害者、人種差別、死、といった、
現実世界で負の部分として捉えがちな事柄が
ごく自然に盛り込まれており、
そのことが物語に深みを与えている。

好き嫌いが分かれる漫画だとは思うが、
ハマればかなり感動できるはず。

自分は主人公と祖母とのエピソードや、
物語の終盤、辰木が鈴木さんと心を通わせる場面で、
涙腺がゆるんでしまった。

現在、一般書店ではほとんど置いていないが、
古本屋や漫画喫茶なんかでみかけたら、
ぜひ、ご一読をば。

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「神戸在住」(全10巻)木村紺著/講談社(アフタヌーンコミックス)

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「中原の虹」

浅田次郎著「中原の虹」文庫版全4巻を読み終わる。

夢中になると続きが気になってしかたがなくなり、
あっという間に読破してしまう質だが、この本は時間がかかった。
というのも続きが全然気にならなかった。

前シリーズである「蒼穹の昴」が面白かったので、
続編である「中原の虹」はとても楽しみにしてた作品なんだが、どうにもわくわくしない。

物語の主軸がころころ変わるので、その度に緊張感がそがれてしまう。

数多くの登場人物たちも型どおりの役を演じている感が強く、
感情移入ができない(特に西太后と張作霖)。

これはファンタジー作品か?という龍玉やら、要所要所で英霊たちが導くという設定も、
パラレルワールドとして別の歴史を創作するというのなら面白い要素と思うが、
あくまで現実の歴史を下敷きにした作品なので馴染まない感じだ。

良かったといえば前作の主人公、春雲が兄の春雷と再会するシーンと、
最後のほうまで野心があるのかないのかつかませなかった袁世凱の描写くらい。

もし今後、正統な続編があるとしたら満州事変にさしかかって、
今まで以上に「史実」という制約を受けるだろうから、
登場人物らはそのギャップに苦しむだろう。

すでにスピンオフとしてその後を描いた「マンチュリアン・リポート」という作品があるが、
評判を聞く限りまったく読む気がしない。

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それ町

「それでも町は廻っている」

なにげに読んでみたら面白かった!

ほのぼのした登場人物や読後感が「よつばと!」とよく似ている。

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「3月のライオン」

「3月はライオンのように(荒々しく)やってきて、羊のように(静かに)去っていく」

という諺がイギリスにあるそうだ。
その諺をタイトルにした羽海野チカ作のコミック、
「3月のライオン」1~4巻を一気読み。

以前から人気のあることは知っていたが、
少女漫画&絵本のような絵柄が、
どうも馴染めず手付かずのままだった。

しかし将棋漫画というのがずっと気になっており、
お試しで1巻を読んでみたら、
これが見事にハマり、最新刊までを読破。

東京の下町に一人で暮らす17歳の少年・桐山零。彼は幼い頃に事故で家族を失い、心に深い傷を負ったまま、将棋のプロ棋士として孤独な生活を送っていた。そんな零の前に現れたあかり・ひなた・モモの3姉妹。彼女たちと接するうちに零は・・・。様々な人間が何かを取り戻していく物語。


物語にちりばめられているのは死、孤独、病気、嫉妬、愛憎などのダークな要素。

でも、本当の悪人(最初の印象が最悪だった香子や後藤すら)がいないので、
決して救いの無い展開にはならんだろうという安心感がある。

3巻までは将棋よりもあくまで人間ドラマが中心と思わせておいて、
将棋界の最高峰を決める名人戦を描いた4巻では、
一転して骨太な対局シーンで盛り上がる。
こうなると将来、主人公と冬谷名人(モデルは羽生?)の対局がみてみたい。

またシリアスなシーンとコミカルなシーンが嫌味なく交差するバランスが絶妙。

あ~早く続きが読みたい!


ところでこの漫画にも個性豊かな棋士たちが多く登場するが、
現実のプロ棋士もなぜかハジけた人が多い。

加藤一二三九段伝説

橋本崇載応援サイト

生放送中にプロ棋士が女流棋士に告白(動画)


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