« どこまでいくねん | トップページ | ペリーのいくら丼 »

ナルシスとエコー

自己陶酔する人物のことをよくナルシストと呼ぶ。
ナルシストの語源がギリシャ神話の登場人物、
ナルシスからきていることは割と知られているが、
このナルシスの物語に出てくるエコーについては、
あまり知られていない。
これではエコーが不憫なので、
ナルシスとエコーの物語をちょっと紹介。

エコーは森に住むニンフ(妖精)の一人だった。
エコーはとても美しい妖精だったが、
唯一の欠点は大変なおしゃべりなこと。
ある日、エコーの住む森にオリンポスの女神であるヘラがやってきた。
夫のゼウスがニンフたちと戯れていないかと、探しに来たのだ。
ヘラを恐れ逃げ出すニンフたち。
エコーはヘラに対して得意のおしゃべりをして、
ニンフ達が逃げる時間稼ぎをするが、ヘラに見破られ怒りを買ってしまう。

「今後、自分から話すことは許さない。
 相手が話したときのみ答えるがよい!」

こうして話好きだったエコーは、
自分からはまったく話すことができなくなってしまった。

そんなある日、森にナルシスという美しい青年がやってきた。

エコーは一目みてその美しい青年に恋をする。

エコーはナルシスに自分の想いを伝えるが、
ナルシスはオウム返しにしか反応できないエコーを疎ましく思い、
冷たくあしらう。

エコーは森の奥深くにひっこみ一人悲しんだ。
あまりにも悲しんだため肉体が消えてしまい、
声だけの存在となってしまった。

それを知った復讐の女神はナルシスに、
(自分しか愛せない)
という呪いをかける。

呪いを受けたナルシスは湖に映る自分の姿に心を奪われる。
ナルシスは毎日のように湖にやってきては、
水面に映る自分の姿に愛をささやくようになる。
そんなナルシスの傍らに一人のニンフが寄り添う。
そのニンフは声だけの存在になったとはいえ、
いまだナルシスに好意を持つエコーだった。
ナルシスが「ああ」と言えば、エコーも「ああ」と答える。
ナルシスが「愛している」と言えば、エコーも「愛している」と答える。

しかし、ナルシスの恋の相手は、
所詮、水面に映った自分の影。
触れることも、想いを通じ合うこともできないことで、
ナルシスは衰弱していき、とうとう死んでしまう。

そしてナルシスが死んだ辺りから一輪の花が咲き、
ナルシスの死を悲しんだニンフたちは、
その花に彼の名前を付けて弔った。

というのがおおまかなあらすじ。

反響音のことをエコーと呼ぶが、
語源はもちろんこの物語に出てくるニンフのエコーからきている。

そしてナルシスという花も実在する。
日本名で水仙と呼ばれている花のことだ。

特に怪物が出てきたり、英雄も出てこない地味なエピソードだが、
ギリシャ神話のなかでは、この物語が個人的には一番好きだったりする。

|

« どこまでいくねん | トップページ | ペリーのいくら丼 »

話の話」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65730/42101672

この記事へのトラックバック一覧です: ナルシスとエコー:

« どこまでいくねん | トップページ | ペリーのいくら丼 »