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「夕凪の街 桜の国」

Gensaku

現在公開中の映画「夕凪の街 桜の国」の原作コミックを購入する。

昭和30年の広島と現代の東京と広島を舞台に3っつの短編から構成されていて、すべてのページを合わせても100P足らずと非常に短い。

原爆というと被爆直後の状況ばかりに目がいきがちになるが、この作品ではそういう描写は数コマ程度で、被爆後の人々の生活がメインテーマになっている。

基本的にはのどかな日常が描かれていて、絵柄もほのぼのしている。
なのに、その日常にときどき垣間見える原爆や原爆病の暗い影が、とてもリアルに伝わってくる。

「嬉しい?
 十年経ったけど
 原爆を落とした人はわたしをみて
 『やった!またひとり殺せた』
 とちゃんと思うてくれとる?

 ひどいなあ
 てっきりわたしは
 死なずにすんだ人
 かと思ったのに」

「夕凪の街」でのラスト、主人公である皆実の絵もない文章だけの独白はとても悲しくもあり恐ろしかった。

原作には人物についての詳しい説明や描写がないので、一度流し読みしただけでは、「夕凪の街」と「桜の国」との登場人物のつながりがよくわからない。最後までじっくり読んで、はじめてそのつながりがわかるようになっている(よく読むと「夕凪の街」の登場人物が「桜の国」でもほんのチラリ登場していたりもする)。

「生まれる前 
 そう
 あの時わたしは
 ふたりを見ていた。
 そして確かに
 このふたりを選んで
 生まれてこようと
 決めたのだ」

七波(「桜の国」の主人公。皆実の弟の娘)のこの言葉も、人物のつながりを理解した2回目の読み直しで、より深く感動できた。読み返すごとに味わいが深まっていく。

知人から映画のほうが今ひとつだったと聞いていたので、若干、不安があったが、これは読んでおいて良かった。

「夕凪の街 桜の国」(こうの史代著/840円/双葉社)

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