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夜鷹②

似たもの同士

 ヨタカは池のほとりに立ち、水面に映る自分の姿をみつめていた。
 ずんぐりとした体を茶と黒のまだら模様が覆い、くちばしにはすだれのようなひげがある。
(こんな姿なら、ああ言われても仕方がないな)
 ヨタカは深いため息をついた。
(僕はどうしてこんな姿に生まれてきたんだろう。もし本当のタカに生まていれば、どんなに良かっただろう)
 今まで何度タカに生まれたいと思ったことか。
 ヨタカの目から雫がこぼれ落ち、池に小さな波紋ができた。
「おーい!」 
 ウグイスが飛んできてヨタカの横に着地する。
「どうしたのヨタカ。ずいぶん落ち込んでいるみたいだけど」
「やあ、こんにちは」
 ヨタカは明るく振る舞ったが、ウグイスは心配げにヨタカに言った。
「また、誰かにからかわれたのかい?」
「いつものことさ・・・」
 ヨタカは先ほどの出来事を話した。話を聞いたウグイスは心からヨタカに同情した。
「どうしてそんなことを言うんだろう。困っている姿をみて、喜んでいる奴らなんて最低だよ」
 ウグイスはどちらかといえば、地味で目立たない鳥であった。しかも力が弱く、餌を他の鳥に横取りされることも多かった。そんなウグイスとヨタカは何かと気が合い、大の親友同士だった。
「でも、時々思うことがあるんだ」
 ヨタカは遠い目をして言った。
「弱い者が何を言ったって、世の中はなにも変わりはしない。この世の中は強い者と弱い者がいて、強い者のために世界はあるんじゃないかって」
 それは違う!
 ウグイスはそう言いたかったが、自分自身いつも非力さに泣かされており口に出せなかった。
「あ、一番星がみえるよ」
 ウグイスは話を逸らそうと、夕焼け空に小さく光る星をみつけて言った。
「きれいだなあ。何も考えず、ぼーっと眺めていると、嫌なことも忘れてしまうよ」

 ウグイスとヨタカは長い時間、その星を見ていた。西の端にわずかな赤味を残して、上空が暗闇に包まれようとする頃、ふいにヨタカはウグイスに尋ねた。
「ヨタカの星って知ってるかい」
 知らない、ウグイスが答えると、ヨタカはその星について語った。
「僕たちの仲間内に伝わる伝説でね、昔1羽のヨタカがいた。そのヨタカもやっぱりみにくい鳥だって、他の鳥たちから嫌われていたんだ。ある夜、そのヨタカは空高く舞い上がった。どこまでもどこまでも高く・・・。そして、そのヨタカは星になった」
 ウグイスは黙ってヨタカの話を聞いていた。
「星になるってどんな気分だろう。キラキラ輝いて、気持ちいいんだろうなぁ」
 ヨタカは羨ましそうに言った。その横でウグイスはそっとつぶやく。
「でも、それが本当の望みだったのかな」
 

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