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雨ニモマケズと永訣の朝

宮澤賢治の代表的な詩として「雨ニモマケズ」と「永訣の朝」が有名だが、自分には「永訣の朝」のほうが印象深い。
「雨ニモマケズ」には賢治が「こうありたい」と願う姿が記されている。

 雨ニモマケズ 風ニモマケズ
 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

で始まり、

 東ニ病気ノコドモアレバ
 行ッテ看病シテヤリ
 西ニツカレタ母アレバ
 行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
 南ニ死ニサウナ人アレバ
 行ッテコワガラナクテモイイトイヒ
 北ニケンクヮヤソショウガアレバ
 ツマラナイカラヤメロトイヒ

と人に接して、

 ミンナニデクノボートヨバレ
 ホメラレモセズ  クニモサレズ
 サウイフモノニ ワタシハ ナリタイ

と結ばれている(抜粋)。

自分は立派な言葉、耳当たりのいい言葉には、とりあえず拒否反応を示してしまう。
巷には「人生こう生きれば幸せになれる!」というような言葉が溢れているが、そんなきれい事の言葉通りに生きられないからこその人間だろう。
この詩は賢治が作品として発表したものではなく、メモ帳に記してあったものなので、ウソではないだろうが、この通りにしていたら、さぞかししんどいだろうと思う。
一方「永訣の朝」は、賢治が26歳のとき、良き理解者にして最愛の妹トシ子が結核のため24歳の若さで亡くなったその日に書き上げられた。

 けふのうちに
 とおくへいってしまふわたしのいもうとよ

で始まるこの詩には、賢治の目の前でその生涯を閉じようとする妹とのやりとりと賢治の心情がつづられている。

 みぞれが降り、空は曇っているのに変に明るい朝。
 死の直前にあって私(賢治)を明るくするために「雨雪を取って きて下さい」というトシ子。
 見慣れた茶碗の模様にも、今朝お前は別れてしまう・・・

一部を口語訳するとこんな内容だが、読んでいると、自分がまるでその場所にいるかのようにその情景が浮かんでくる。日常の淡々とした静けさが、逆に賢治の深い悲しみを際立たせている。

聴いた事はないが、この「永訣の朝」は歌にもなっているそうだ。聴きたいような聴きたくないような・・・。
他にも同じテーマを扱った賢治の詩に「無声慟哭」「松の針」がある。

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